人気ブログランキング | 話題のタグを見る
<< 今年の玉葱 耕そう、いばらき! >>

野菜の放射能濃度について

関東地方はいつもより早めの梅雨入りとなりました。
すっきりしないお天気が続きますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

さて、宮内農園では、福島第一原子力発電所の事故後、悶々と悩み、考えてきました。
畑に放射能が降ったという事実とどう向き合えばよいのか、なかなか答えを出せないでいました。
「茨城の野菜は食べるな」という意見もあります。そんな中、セットとしてうちの野菜を送り、食べていただいてもよいのだろうか、と。
事故以降、戸別宅配の野菜セットの出荷を自粛し、5月上旬から一部の方だけに細々と出荷を再開しました。いろいろなデータも集めました。様々な立場の専門家の意見にも目を通しました。どれだけデータを集めても、どれだけ意見を集めても、分からないことも多く、毎日毎日悩みました。
ひとつだけ分かったこと、それは、宮内農園としての考え方をはっきりと決めなければ、前に進めない、ということです。

そこで、宮内農園のセットに入れる野菜について、独自の放射能濃度規制値を設けることにしました。
 
宮内農園の有機野菜「元気な野菜たち」の規制値(一品目)
放射性ヨウ素: 100ベクレル/kg
放射性セシウム(134、137合計): 100ベクレル/kg
  
日本の暫定規制値より厳しい値で設定しました。
「100ベクレルの科学的根拠は?」と聞かれると、うまく説明はできません。すみません。
当農園の野菜をセットで数品目お送りするという性質上、日本の暫定規制値より低く設定し、セシウムについてはその5分の1と設定しました。
(日本の暫定規制値 放射性ヨウ素: 2000ベクレル/kg、放射性セシウム: 500ベクレル/kg。 
EU乳児食品基準 放射性ヨウ素: 100ベクレル/kg、放射性セシウム: 200ベクレル/kg。
その他、各国によって、基準は様々です。)

では現在、畑の野菜がどのくらいの数値であるかをご紹介いたします。
まずは、宮内農園で採取した野菜と、畑の土の放射能濃度測定結果について

小松菜(5月1日採取) 
①ヨウ素131:  不検出(5.7未満)(ベクレル/kg)

②セシウム合計:  22.2 (ベクレル/kg)
・セシウム134:  不検出(8.5未満)
・セシウム137:  22.2 (ベクレル/kg)  
※暫定規制値 ヨウ素: 2000ベクレル/kg、 セシウム: 500ベクレル/kg
※当検体は畑で採取し、水洗いをせず、土などついたまま提出しています。

畑の土(5月8日採取)
①ヨウ素131: 11.6(ベクレル/kg)
②セシウム合計: 175.4(ベクレル/kg)
 ・セシウム134:  80.0(ベクレル/kg)
 ・セシウム137:  95.4(ベクレル/kg)
※土壌中放射性セシウム上限値は5000ベクレル/kg、土壌から玄米へのセシウム移行の指標は0.1 です。
※検体の土は、事故後一度も耕していない畑の上部15センチほどを採取したものです。
  今後深耕することで、濃度は薄くなると考えられます。

小松菜以外の野菜について
本来ならば、当農園で採れる野菜全品目を検査機関に提出したいところですが、できない事情があります。検査1回につき、2万円から3万円程かかります。少量多品目栽培の当農園としては、出荷するすべての野菜を検査することが、金銭的に難しいのです。ご理解くださいますよう、お願いいたします。

そこで、ここ茨城県石岡市が検査した野菜の放射能濃度が参考になります。
http://www.city.ishioka.lg.jp/index.php?oid=5832&dtype=1000&pid=458 からご覧いただけます。

小松菜やカブ葉が「検出せず」であるのに対し、大根、カブは暫定規制値を大きく下回ってはいるものの、セシウムが検出されています。
サンプルが少ないので、あくまで推測ではありますが、放射能が畑の野菜に「上から降った」時期から、現在は「土に降った放射能を野菜が吸い上げている」時期に変わってきたのではないかと思います。
吸い上げ方は野菜によって様々ですので、今後はセシウムを吸い上げやすいかどうかを野菜の品目ごとに注意深く見守っていく必要があると考えます。

宮内農園としては、先に述べた当農園独自の規制値を上回るだろうと判断された野菜については、セットに入れないことにいたします。石岡市のデータですべての野菜のデータが揃うわけではないので、推測の域を出ない品目もあります。茨城県のデータ http://www.pref.ibaraki.jp/20110311eq/index25.html 、及び全国の食品検査結果のデータ http://atmc.jp/food/なども参考にして、またその野菜が根っこなのか、葉っぱなのか、実なのか、種なのか、芽なのか、そして土のどんな栄養素を好むのか、また畑で生長するときの姿や生育期間などを考え、それに近い品目のデータから誠実に判断していくことにします。

このように当農園独自の規制値をもちまして、「元気な野菜セット」の戸別宅配を通常の出荷に戻すことにいたします。
もちろん「安心」の基準は人それぞれで、ご家族の構成にもよると思いますので、ご判断(継続する、暫らく休む、やめる、頻度を変えるなど)は、お客様におまかせいたします。
この値が高いのか低いのか、感じ方は人それぞれだと思います。
先にも申しましたが、「茨城県産の野菜は食べるな」という意見の方もいらっしゃいます。そして「農薬やダイオキシンのほうが怖いから」とか、「スーパーで茨城県産の野菜を買うこともあるのだから」と、当農園の野菜セットを取り続けてくれるお客様もいらっしゃいます。そしてまた、西日本産の有機野菜が簡単に手に入る世の中であることも事実です。みなさまの五感を総動員してご判断ください。
よろしくお願いいたします。
by miyauchi-nouen | 2011-06-01 16:10 | お知らせ
<< 今年の玉葱 耕そう、いばらき! >>